후리가나로 읽는 일본 고전
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おちてゆくせかい
落ちてゆく世界
久坂 葉子
久坂 葉子의 落ちてゆく世界(おちてゆくせかい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 19,725자 · 40화면
ニ長調のロンドです。兄は白い敷布の上に長く寐て目をつむりながらきいております。
「ねえ、信二郎さんがジャズバンドのアルバイトやりたいって、雪子に昨夜云ったんだけど、兄様、どうお思いになる?」
「信二郎が、あれ勉強してるのかい、夜稼ぐのじゃ大変じゃないか、おそく迄なんだろう」
「でも土曜日曜らしいことよ。それも、きまってあるのじゃなくて……」
「僕のように体をこわしちゃつまらないからな、で何をやるの」
「スティールギター。借りるんだって? で一二回やれば自分のを買う事が出来るっていうの」
「まあ、場所が場所だから、僕は反対だけれど……。二年間も世間と没交渉なんだからな、口はばったいことは云えないね。僕の気持も世間からみれば馬鹿な時代おくれなものだろうが……」
「兄様、そんなことはない。どんな世の中になっても兄様はモツァルトの音楽を愛する方でなきゃ……」
私は兄の部屋をあらためてみまわしました。中宮寺の観音像やモツァルトの肖像の額がかけてあります。その下には、外国の絵の本やカタログや、レコードの類がぎっしりあります。この夏、皮表紙のルーヴルのカタログを売ろうと云い出した時、兄は怒ったように私の瞳をにらんでおりました。