후리가나로 읽는 일본 고전
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じゃせいのいん
蛇性の婬
田中 貢太郎
田中 貢太郎의 蛇性の婬(じゃせいのいん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 26,880자 · 54화면
許宣も本堂の前で香を燻らし、紙馬紙銭を焼き、赤い蝋燭に灯を点しなどして両親の冥福を祈った。そして、寺の本堂へ往き、客堂へあがって斎を喫い、寺への布施もすんだので山をおりた。
山の麓に四聖観と云う堂があった。許宣がその四聖観へまでおりた時、急に陽の光がかすれて四辺がくすんで来た。許宣はおやと思って眼をった。西湖の西北の空に鼠色の雲が出て、それが陽の光を遮っていた。東南の湖縁の雷峰塔のあるあたりには霧がかかって、その霧の中に塔が浮んだようになっていた。その霧はまた東に流れて蘇堤をぼかしていた。眼の下の孤山は燻銀のくすんだ線を見せていた。どうも雨らしいぞ、と思う間もなく、もう小さな雨粒がぽつぽつと落ちて来た。許宣は四聖観の簷下に往って立っていたが、雨は次第に濃くなって来て、雨隙が来そうにも思われなかった。空には微墨色をした雲が一めんにゆきわたっていた。許宣はしかたなしに鞋を脱ぎ襪も除ってそれをいっしょに縛って腰に著け、赤脚になって四聖観の簷下を離れて湖縁へと走った。
許宣はそこから舟を雇うて湧金門へまで帰るつもりであった。不意の雨に驚いて濡れながら逃げ走っている人の姿が、黒い点になってそこここに見えた。