후리가나로 읽는 일본 고전
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たこのごときもの
蛸の如きもの
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 蛸の如きもの(たこのごときもの)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,085자 · 21화면
和服の襟をきりっと合せ、首を真直に、すらりとした立ち姿、自然に差し延ばした手の曲線、サロンの女主人公とも言える恰好である。
「三上さん、また酔いましたね。もうお銚子もからになったから、これでお帰りになったがよろしいわ。」
きれいな音声だ。
「僕は悲しいんです。帰ります、帰ります。」
驚くほどの従順さで、彼はよろよろと出て行く。その後ろ姿を、遼子は微笑で見送る。
恥かしくないのか、彼女の微笑に対して。いや、恥かしいよりも、やはり、悲しいのだ。誰も彼も悲しいのだ。ビルの影から、唇の赤い洋装の背の低い女がつと出て来て、自分を影の中に置き、相手に燈火を受けさせる位置で、囁きかけ、ねえ、と顔色をうかがい、あそんで、と視線を胸から腰へすべらし、ゆかない、で足先まで見て取り、ズボンの膝がすり切れ靴が泥まみれになっておれば、ぷいと横を向いてしまう、その女の、商売柄の眼の鋭さも、また、男のみすぼらしい服装も、恥かしいより寧ろ悲しくはないか。
なにが悲しいものかと、抵抗出来る人は幸だ。
――われは沖繩の紺碧の海を思う。
あの海になら、死体が浮んでも恐らく美しかろう。東京の掘割のは醜悪だ。