후리가나로 읽는 일본 고전
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たこのごときもの
蛸の如きもの
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 蛸の如きもの(たこのごときもの)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,085자 · 21화면
」
そんならまあ、杉小屋か。老人の腕を執ると、二人の歩調も自然に合う。
「さっき、百合子に逢いましてね、いよいよ確かなところを見届けました。あれなら、もう大丈夫です。」
歩きながらいきなり言い出されたのでは、何のことやらさっぱり分らない。
「ずいぶん苦心しましたよ。時おり行っては、それとなく様子を見、チップにしては少し多額の金を、ひそかに渡すんですからね。百合子はびっくりした顔つきで、初めは断りましたが、事情があって……と言うと、素直に受け取るようになりました。もっとも、それがどんな事情だか、理解したわけではないらしい。ほんとに理解されても困る。まあそれはとにかく、あすこは人目が多いから、これには弱りましたよ。第一、貞夫に出っくわしでもしたら、恥さらしだし、貞夫が来るかどうか、表から覗いてみるわけにもゆかず……弱りましたよ。」
貞夫というのは、高木老人の令息であり、百合子というのは、カフェーかなんかの女給らしい。老人が息子と顔を合せないように用心しいしい、恐らくはそのカフェーの前を、なんどかこそこそと行きつ戻りつしたろう光景は、ちょっと微笑ましいじゃないか。