후리가나로 읽는 일본 고전
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しゅみのいでん
趣味の遺伝
夏目 漱石의 趣味の遺伝(しゅみのいでん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 38,235자 · 77화면
帰りがけに学生の一人に追いついて君は白山の方にいるかと聞いたら、いいえ森川町ですと答えた。こんな馬鹿な騒ぎ方をしていたって始まる訳のものではない。やはり平生のごとく落ちついて、緩るりと探究するに若くなしと決心を定めた。それでその晩は煩悶焦慮もせず、例の通り静かに書斎に入って、せんだって中からの取調物を引き続いてやる事にした。
近頃余の調べている事項は遺伝と云う大問題である。元来余は医者でもない、生物学者でもない。だから遺伝と云う問題に関して専門上の智識は無論有しておらぬ。有しておらぬところが余の好奇心を挑撥する訳で、近頃ふとした事からこの問題に関してその起原発達の歴史やら最近の学説やらを一通り承知したいと云う希望を起して、それからこの研究を始めたのである。遺伝と一口に云うとすこぶる単純なようであるがだんだん調べて見ると複雑な問題で、これだけ研究していても充分生涯の仕事はある。メンデリズムだの、ワイスマンの理論だの、ヘッケルの議論だの、その弟子のヘルトウィッヒの研究だの、スペンサーの進化心理説だのと色々の人が色々の事を云うている。そこで今夜は例のごとく書斎の裡で近頃出版になった英吉利のリードと云う人の著述を読むつもりで、二三枚だけは何気なくはぐってしまった。