후리가나로 읽는 일본 고전
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とじょう
途上
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 途上(とじょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 16,060자 · 32화면
そんな頼りにならない偶然を頼りにする奴もないでしょう」
「そうです、たった三十回自動車へ乗せただけなら、その偶然が命中する機会は少ないと云えます。けれどもいろいろな方面からいろいろな危険を捜し出して来て、その人の上へ偶然を幾つも幾つも積み重ねる、―――そうするとつまり、命中率が幾層倍にも殖えて来る訳です。無数の偶然的危険が寄り集って一個の焦点を作っている中へ、その人を引き入れるようにする。そうなった場合には、もうその人の蒙る危険は偶然でなく、必然になって来るのです」
「―――とおっしゃると、たとえばどう云う風にするのでしょう?」
「たとえばですね、ここに一人の男があってその妻を殺そう、―――死に至らしめようと考えている。然るにその妻は生れつき心臓が弱い。―――この心臓が弱いと云う事実の中には、既に偶然的危険の種子が含まれています。で、その危険を増大させるために、ますます心臓を悪くするような条件を彼女に与える。たとえばその男は妻に飲酒の習慣を付けさせようと思って、酒を飲むことをすすめました。最初は葡萄酒を寝しなに一杯ずつ飲むことをすすめる、その一杯をだんだんに殖やして食後には必ず飲むようにさせる、こうして次第にアルコールの味を覚えさせました。