후리가나로 읽는 일본 고전
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とおののきぶん
遠野の奇聞
泉 鏡花
泉 鏡花의 遠野の奇聞(とおののきぶん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 4,768자 · 10화면
白望の山続きに離森と云う所あり。その小字に長者屋敷と云うは、全く無人の境なり。茲に行きて炭を焼く者ありき。或夜その小屋の垂菰をかかげて、内を覗う者を見たり。髪を長く二つに分けて垂れたる女なり。このあたりにても深夜に女の叫声を聞くことは、珍しからず。
佐々木氏の祖父の弟、白望に茸を採りに行きて宿りし夜、谷を隔てたるあなたの大なる森林の前を横ぎりて女の走り行くを見たり。中空を走る様に思われたり。待てちゃアと二声ばかり呼ばりたるを聞けりとぞ。
修羅の巷を行くものの、魔界の姿見るがごとし。この種の事は自分実地に出あいて、見も聞きもしたる人他国にも間々あらんと思う。われ等もしばしば伝え聞けり。これと事柄は違えども、神田の火事も十里を隔てて幻にその光景を想う時は、おどろおどろしき気勢の中に、ふと女の叫ぶ声す。両国橋の落ちたる話も、まず聞いて耳に響くはあわれなる女の声の――人雪頽を打って大川の橋杭を落ち行く状を思うより前に――何となく今も遥かに本所の方へ末を曳いて消え行く心地す。何等か隠約の中に脈を通じて、別の世界に相通ずるものあるがごとくならずや。夜半の寝覚に、あるいは現に、遠吠の犬の声もフト途絶ゆる時、都大路の空行くごとき、遥かなる女の、ものとも知らず叫ぶ声を聞く事あるように思うはいかに。