후리가나로 읽는 일본 고전
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のわき
野分
夏目 漱石의 野分(のわき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 93,508자 · 189화면
「ええ、厭ですか」
「厭じゃないわ。だけれども、取って人に御見せなさるでしょう」
「見せてわるければ、わたし一人で見ています」
女は何にも云わずに眼を横に向けた。こぼれ梅を一枚の半襟の表に掃き集めた真中に、明星と見まがうほどの留針が的と耀いて、男の眼を射る。
女の振り向いた方には三尺の台を二段に仕切って、下には長方形の交趾の鉢に細き蘭が揺るがんとして、香の煙りのたなびくを待っている。上段にはメロスの愛神の模像を、ほの暗き室の隅に夢かとばかり据えてある。女の眼は端なくもこの裸体像の上に落ちた。
「あの像は」と聞く。
「無論模造です。本物は巴理のルーヴルにあるそうです。しかし模造でもみごとですね。腰から上の少し曲ったところと両足の方向とが非常に釣合がよく取れている。――これが全身完全だと非常なものですが、惜しい事に手が欠けてます」
「本物も欠けてるんですか」
「ええ、本物が欠けてるから模造もかけてるんです」
「何の像でしょう」
「ヴィーナス。愛の神です」と男はことさらに愛と云う字を強く云った。
「ヴィーナス!」
深い眼睫の奥から、ヴィーナスは溶けるばかりに見詰められている。