후리가나로 읽는 일본 고전
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きんろう
金狼
久生 十蘭
久生 十蘭의 金狼(きんろう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 89,438자 · 179화면
久我がふりかえって見ると、半町ほどうしろに四人の酔漢が腕を組み合ってなにか大声でわめきながらよろめき歩いていた。
「あとを尾けられるはずはないじゃないか。心配しなくともいい。あれは酔っぱらいだ」
二人は代田橋から七軒町を通り下高井戸のそばまでやってきた。もう三時ちかくだった。そこの町角で立ちどまると、葵が弱々しい声で、疲れた、といった。
久我は道路に立って、いま来たほうへ耳をすました。虫の声のほか人の気はいらしいものは感じられなかった。
「じゃ、あの家のかげで休もう」
二人は道路から右へ折れこみ、森山牧場の納屋の前を通って中庭のようになった狭い草地へはいって行った。白い花をつけた百日紅の木があって、それが霧の中で匂っていた。
二人はその下へ坐った。
「ひどい露だ」
「でも、いいところだわ。ひとに見られる心配はないし、花の匂いもするし……」
葵は久我により添うと、その肩に頭を凭らせて、深い息をすった。
〈とうとう逃げだしてきた。助かったんだ。これで、もう大丈夫……〉
久我は葵の肩を抱いて、
「ため息をついたな? 疲れたか。……でも、もうすこしの我慢だよ。夜があけたら、府中の町でこの万年筆を売ろう。