후리가나로 읽는 일본 고전
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きんろう
金狼
久生 十蘭
久生 十蘭의 金狼(きんろう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 89,438자 · 179화면
〈……ひたすら、ご本家さまに恭順し、いかなるご無能のおん申しいでにても、これに違背せざるを、家憲の第一といたすべく、子々孫々……〉。この家憲は、現代もなお、違背なく固く遵守されているのだった。
葵の父は、生来羸弱な、無意志な人物だった。母は美しいひとだったが、劇しい憂鬱症で、葵のものごころがついた頃には、もう、ひとり離れた数寄屋のなかで起居し、いかなる人間にたいしても口をきかなかった。
和泉家のさまざまな慣例のうち、本家の二男三男は、分家の女子と縁組するのが、代々の規定になっていたので、葵もその例に洩れることは出来なかった。実情を明かせば、本家の家系は、いわゆる劣性家系であって、屡※(二の字点、1-2-22)手のつけられぬ不適者をだした。こんな家に嫁の来手はないのだから、強制的に分家の女子を、それらの※疾にめあわす必要があったのである。
このようなわけで、葵は先天的に夫をもっていた。葵の夫とさだめられていたのは、正明という本腹の四男であった。これは純粋の痴呆で、のみならず、眼球震盪症といって、眼球が間断なく動いている、無気味な病気を持っていた。
葵の十五の春に、父が喉頭癌で死ぬと、分家を立てるという名目で、二十一歳の正明が、急遽、葵の家へおくだりになることになり、葵はその夜から、この阿呆と同室で、夫婦の