후리가나로 읽는 일본 고전
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きんろう
金狼
久生 十蘭
久生 十蘭의 金狼(きんろう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 89,438자 · 179화면
5
それで、またひと騒動がはじまった。
纒いつくように、夫に寄りそって、中野の、二人のアパートまで帰りながら、葵は、歌いだしたいほど幸福だった。
久我が、いった。
「……今週の終りごろ、僕は公用で台湾まで行かなくてはならない。……(葵の肩を抱きよせながら)もちろん、君もゆく。……竜眼と肉色の蘭の花のなかで、結婚するんだ、ね」
返事をするかわりに、葵は、眼をつぶって唇をさしだした。木立が影をひく、蒼白い路のうえに立って、二人はながい接吻をした。
十一時零分、東京駅発、下関行急行。
二人は大雨のなかを、東京を発っていった……。
乾が、息せききって駆けつけてきて、大阪寿司に一箱のキャラメルを添えて、二人の窓のなかへ押しこんだ。
「すぐ帰って来ますわ」
葵が、乾にいった。そして、そのほうへ子供のような、小さな、嫋やかな手をさし出した。
汽車が出て行った。
5
乾が帰ってきた。夏羽織の肩も裾もぐっしょりと濡らして、まるで川へはまった犬っころのようなみじめな風態だった。
ぬれた内懐から気味わるそうに鍵をひきだして、鍵孔にさしこもうとすると、思いがけなく、すうっ、と扉が内側へあいた……