후리가나로 읽는 일본 고전
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くぎぬきとうきちとりものおぼえがき
釘抜藤吉捕物覚書
林 不忘
林 不忘의 釘抜藤吉捕物覚書(くぎぬきとうきちとりものおぼえがき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 15,998자 · 32화면
一
近江屋の隠居が自慢たらたらで腕を揮った腰の曲がった蝦の跳ねている海老床の障子に、春は四月の麗かな陽が旱魃つづきの塵埃を見せて、焙烙のように燃えさかっている午さがりのことだった。
八つを告げる回向院の鐘の音が、桜花を映して悩ましく霞んだ蒼穹へ吸われるように消えてしまうと、落着きのわるい床几のうえで釘抜藤吉は大っぴらに一つ欠伸を洩らした。
「おっとっとっと――。」
髪床の親方甚八は、あわてて藤吉の額から剃刀の刃を離した。
「親方、いけねえぜ、当ってる最中に動いちゃあ――。」
「うん。」
あとはまた眠気を催す沈黙が、狭い床店の土間をのどかに込めて、本多隠岐守殿の黒板塀に沿うて軽子橋の方へ行く錠斎屋の金具の音が、薄れながらも手に取るように聞こえて来るばかり――。
剃り道具を載せて前へ捧げた小板を大儀そうにちょっと持ち直したまま蒸すような陽の光を首筋へ受けて釘抜藤吉は夢現の境を辿っているらしかった。気の早い羽虫の影が先刻から障子を離れずに、日向へ出した金魚鉢からは、泡の毀れる音がかすかに聞こえてきそうに思われた。土間へ並べた青い物の気で店一体に室のようにゆらゆらと陽炎が立っていた。