후리가나로 읽는 일본 고전
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に、さんば――じゅうに、さんば
鏡花短篇集
泉 鏡花
泉 鏡花의 鏡花短篇集(に、さんば――じゅうに、さんば)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 33,305자 · 66화면
土地では珍しいから、引越す時一枝折って来てさし芽にしたのが、次第に丈たかく生立ちはしたが、葉ばかり茂って、蕾を持たない。丁ど十年目に、一昨年の卯月の末にはじめて咲いた。それも塀を高く越した日当のいい一枝だけ真白に咲くと、その朝から雀がバッタリ。意気地なし。また丁どその卯の花の枝の下に御飯が乗っている。前年の月見草で心得て、この時は澄ましていた。やがて一羽ずつ密と来た。忽ち卯の花に遊ぶこと萩に戯るるが如しである。花の白いのにさえ怯えるのであるから、雪の降った朝の臆病思うべしで、枇杷塚と言いたい、むこうの真白の木の丘に埋れて、声さえ立てないで可哀である。
椿の葉を払っても、飛石の上を掻分けても、物干に雪の溶けかかった処へ餌を見せても影を見せない。炎天、日盛の電車道には、焦げるような砂を浴びて、蟷螂の斧と言った強いのが普通だのに、これはどうしたものであろう。……はじめ、ここへ引越したてに、一、二年いた雀は、雪なんぞは驚かなかった。山を兎が飛ぶように、雪を蓑にして、吹雪を散らして翔けたものを――
ここで思う。その児、その孫、二代三代に到って、次第おくり、追続ぎに、おなじ血筋ながら、いつか、黄色な花、白い花、雪などに対する、親雀の申しふくめが消えるのであろうと思う。