후리가나로 읽는 일본 고전
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あめ
雨
織田 作之助
織田 作之助의 雨(あめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 30,421자 · 60화면
奇蹟はあらわれず、勝とうと思えば勝てた筈だという彼のいいわけも和尚の大人気ない毒舌にかゝって一笑に附されてしまうと、一途に残念がった。彼はもう一つの奇蹟を待ち、それにすがりついた。亀の子を半時間も経たぬ内に素早く掴えるという神業を行わねばならない。そうすれば和尚に会わす顔も出来、情無い気持も幾分癒やされるだろうと、彼は池の面を穴のあく程みつめていた。残念なことには、亀の子が掴らぬ内に、和尚は檀家へ出掛けて行った。今は会わす顔の無い和尚だが、もう少し居てくれゝばいゝのにと思ったものゝ、しかし、居てくれなくて倖いだった。もし/\亀よ亀さんよ、顔出してくれと、始めは唄う様に言っていたが、時が経つにつれ、そろ/\泣き声になり、やがて、一言も声が出ず、もう、顔さえ出してくれゝば、池の中へどぶんとはいっても掴えたい位になった。周囲りはすっかり暗くなり、木魚の音が悲しい程単調に繰りかえされていた。ふと、自分を呼ぶ声に顔をあげると、夕飯もたべんと何してるんや。門の傍でお君が怖い顔して睨んでいた。亀とろ思てるんやというと、馬鹿! と叱られ、既に泣き出したくなっていた豹一は、こゝぞとばかり泣き出した。