후리가나로 읽는 일본 고전
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かぜたちぬ
風立ちぬ
堀 辰雄
堀 辰雄의 風立ちぬ(かぜたちぬ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 54,998자 · 108화면
十一月十日
冬になる。空は拡がり、山々はいよいよ近くなる。その山々の上方だけ、雪雲らしいのがいつまでも動かずにじっとしているようなことがある。そんな朝には山から雪に追われて来るのか、バルコンの上までがいつもはあんまり見かけたことのない小鳥で一ぱいになる。そんな雪雲の消え去ったあとは、一日ぐらいその山々の上方だけが薄白くなっていることがある。そしてこの頃はそんないくつかの山の頂きにはそういう雪がそのまま目立つほど残っているようになった。
私は数年前、屡々、こういう冬の淋しい山岳地方で、可愛らしい娘と二人きりで、世間から全く隔って、お互がせつなく思うほどに愛し合いながら暮らすことを好んで夢みていた頃のことを思い出す。私は自分の小さい時から失わずにいる甘美な人生へのかぎりない夢を、そういう人のこわがるような苛酷なくらいの自然の中に、それをそっくりそのまま少しも害わずに生かして見たかったのだ。そしてそのためにはどうしてもこういう本当の冬、淋しい山岳地方のそれでなければいけなかったのだ……
――夜の明けかかる頃、私はまだその少し病身な娘の眠っている間にそっと起きて、山小屋から雪の中へ元気よく飛び出して行く。