후리가나로 읽는 일본 고전
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ひとつのエチケット
風雪のビバーク
松濤 明
松濤 明의 風雪のビバーク(ひとつのエチケット)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 4,561자 · 11화면
今度こそ真から山を諦め、忘れることができると信じていた。そしてそうするように、無意識的な努力をしていた。山の本など倉の奥へしまい込んで。
ある日、私は隣村に通ずる橋を渡って、伯父の家へ急いでいた。今まで貸していた土地の問題について伯父の知恵を借りるために。もう夕暮近くなって、涼しい風が田の面を渡っていた。稲の青い穂が波打って、秋が近づいていた。田園の果に、筑波、加波の山波が夕陽を浴びて黄ばんでいた。その上に、山の高さの数倍の高さに、巨大な積乱雲が盛り上っていた。紅みがかった円い頭は、なおも高く湧き返っているようだった。その姿は突然、私にかつての日の夏の穂高を思い起こさせた。それは烈しい、自分自身でどうにも抑えられぬほどの山への思慕であった。静かな夏の夕暮、人気の絶えた奥穂高の頂きに腰を下している時、ジャンダルムの上に高く高く聳えていた雲は、この雲ではなかったか。そし今もまた、この雲があの穂高の上でひっそりと黙って湧き上っているのではないだろうか。
「山へ行きたい」、「穂高へ行きたい」。もう用件も何もあったものではない。すぐ家へ帰って、ルックを詰めて……。