일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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かぜ

風

壺井 栄

壺井 栄의 風(かぜ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 38,702자 · 78화면

아오조라 문고

安心などではなく、疲れでもない。しいていえば、ある不安感からであった。こんなことをしてよいのだろうかと、それが胸にきて食事もすすまなかった。修造のそばでは考えないことが、ひとりになると一度にむらがり出てくるのだ。しかしまた、問題に直面すると、彼女の決心は石のようにかたくなった。嫂が銭湯にさそうのもことわって、兄だけになるのを待ちかまえてでもいたように、茂緒は帳場の兄のところへ寄っていった。一ぱいきげんで、鼻唄まじりに帳簿をめくっていた房次は、まだ三十そこそこの若さで、もう頭のまん中がうすくなりかけていた。色白の生まれつきなので、酔えば真っ赤になり、上からみると頭の地肌まで赤くすけて見える。

「見物、したかい。」

「ええ。」

「銀座や浅草にもいったかい。」

「ええ。」

とはいっても、彼女はまだ銀座も浅草も知らない。馬鹿の一つおぼえのように、毎日渋谷で修造と落ちあっては玉川電車に乗っただけなのだ。三軒茶屋までの停留所の名はみんなおぼえ、家さがしの帰りにぶらつくことにきめている道玄坂だけが、彼女のしたしんだ盛り場だった。その他はどこへいったときかれたら、どう答えようかと、茂緒は罪の意識をさえ感じ、あわてた。