후리가나로 읽는 일본 고전
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くびをうしなったとんぼ
首を失った蜻蛉
佐左木 俊郎
佐左木 俊郎의 首を失った蜻蛉(くびをうしなったとんぼ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 4,704자 · 10화면
彼は池のほとりを一巡りしてから、杉木立の中に足を入れて見た。日曜毎に東京から押し寄せて来る多くの人々の足に蹂み躪られて、雑草は殆んど根絶えになり、小砂利まで踏み出されている地面から、和やかに伸びた杉の樹は、太い鉛筆を並べ立てたかと思われる程真っ直ぐな幹を美しく並べ揃え、目先を遮って幽遠さを見せている。それに赤い夕陽が斜めに光線を投げて、木立の中に縞の赤い明るみを織り出し、尚一入の奥床しさを添えている。彼は煙草を燻らしながら、この瞬間就職難の事を忘れて、落ち着いた気持ちで木立の中を歩いていた。
歩いている中に、彼は大きな蜻蛉の屍が足先に落ちているのを見つけた。
「大きな蜻蛉だな。一体どうして死んだのだろう……。」と呟きながら、彼はそこに蹲んでその屍を視た。そのまわりに小さな黒蟻がうじゃうじゃと寄っている。そして大きな眼球のついた蜻蛉の頭は、小さな黒蟻の群に運び去られたのか、死体のまわりには落ちていなかった。
彼は煙草の煙を胸一杯に吸って、その黒蟻の群にぷうと吹きかけて見た。するとその中の幾匹かが、これは湛らないと言ったふうに、大急ぎで逃げ出した。けれども未だその大多数は執拗に喰い付いていた。