일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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まと

魔都

久生 十蘭

久生 十蘭의 魔都(まと)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 293,999자 · 578화면

아오조라 문고

岩井は明石署から釈放されると、銀座裏の酒場「巴里」で他の五人と落合い、その足でここへやって来たものと見え、ゆうべの「巴里」における有明荘住人忘年会のそのままのタキシード姿で、自在鈎の掛かった大きな囲爐裡の側に胡坐をかいているが、さすがに疲労の色を見せて、膝に手をついてグッタリしている。

額のあたりが少し蒼白んで、貴族的というよりはむしろ詩人的ともいえる風貌を、一層メランコリックにしている。目も鼻も整い過ぎるくらいにきっぱりとしているが、永らくの荒んだ淫蕩生活で、それらはみな一種形容し難い沈滞と疲労の翳を見せ、それはそれなりに廃頽した美しさを示している。濡れたような紅い唇、何か毒々しい花のようで、いっそ無気味にさえ見える、慧眼な医師ならば、この美しい唇の上に、梅毒の明らかな先駆症状を読み取るであろう。漆黒の長髪を櫛目も見えるほどに品のいいオールバックに撫でつけ、すこしうつむき加減になって香りの高い西洋煙草を燻らしている。

三十畳ほどの広さの座敷で、今もいった通り、山家のような、いかついほど大きな囲爐裡が二つ切られ、自在鈎には赤銅の大きな薬鑵が沸々とたぎり返っている。