후리가나로 읽는 일본 고전
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まと
魔都
久生 十蘭
久生 十蘭의 魔都(まと)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 293,999자 · 578화면
以来各所を酔遊した次第を告白すれば、何しろあんな異相の皇帝のことだから、一人や二人の印象に残り、両人が夜更けまで連れ立っていたことを証明して呉れる者もあろうから、その皇帝が加十だけを松谷鶴子の住居にやるなどとは常識では考えられぬので、官憲もこの点に疑問を起し、当夜三人であったという加十の申述が事実かと思うようになるかも知れぬ。甚だ心細い反証だが今のところこれだけが一縷の望みなのである。
加十は様々思案の末、いよいよとなったら、この点を申し立てようと一旦は決心したが、然し一方からいうと安南の皇帝が殺人を行ったなどというのは何という素晴らしい特種であろう。やりようによっては日本国中を唸らせることが出来るのである。のみならずこの実事を知っているのはお馬婆と多少の官憲を除けばこの広い東京で古市加十ただ一人。しかもその加十はこの事件の目撃者で同時に犯罪の証人である。これほどのスクープをたとい未熟なりといえども雑報記者の端くれなる古市加十が雲煙看過しているものであろうか。
加十はつい今まで酔中夢醒の状態で己れの職業のことはサラリと忘れていたが、ここに思い到ると猛然たる職業意識が起って来た。