후리가나로 읽는 일본 고전
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さかなのじょぶん
魚の序文
林 芙美子
林 芙美子의 魚の序文(さかなのじょぶん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,384자 · 21화면
だが、おかしい事には再会するまでのあの切なさも、ふと行きずりにこうして並んでみると、夫婦になってからもなお遠く離れて歩く菊子の方が、僕には変に新しい魅力となって来ているのに気がつくのであった。
結婚して苔に湧く水のような愛情を、僕達夫婦は言わず語らず感じあっていたのだが、それでもまだ、長い間の習慣は抜けきらないもので、金が一銭もなくなると、彼女はおかしな風呂敷包みをつくっては墓場の道を走って行く。で、僕はひょうげて、まるで下宿屋か何かの女でも呼ぶように「お菊さアん」と窓から呼ぶのだ。すると、白く振り返った彼女は、一生懸命に笑った顔で、「お使いよオ」と答える。
「お使いなンかいいんだ。帰っておいでよ」
「だって、あンた苺を食べたくないの? それを買いに行くの……」
何か眼の中が熱くなって来て、墓場の上に紅い粒々がパッと散って行くほど、僕は僕の不甲斐なさを彼女に見せつけられたようだ。で、僕はたまらなくなって素足のまま墓場の道へ走って出た。
「馬鹿! 俺はそんなにしてまで苺なンぞを食いたかないンだよッ! お帰り、帰ったらいいだろう……」
彼女は風呂敷包みを、まるでアンパンか何かのように子供らしく背後に隠して、しぶとく立っていた。