후리가나로 읽는 일본 고전
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
吉川 英治의 鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 262,100자 · 523화면
「お……」弦之丞は五、六歩寄って、「ではあの時、酒に酔った阿波侍が、無礼にも二階から拙者へ金を浴びせ投げた後で、お呼びなされた女客というのは? ……」
「はい、私でござりました」
眼のやり場にうろたえながら顔を赧めている女の様子に、弦之丞は初めて注意するのであった。しかしその身装や肌合は、どうみても、この辺の者らしくなく、江戸の下町に見馴れたつくりである。
櫛巻や小柳帯の引っかけで、いけぞんざいな身仕舞なのが、お綱は、その人だけに気がひけた。ともすると、自分が女掏摸だという奥底まで、弦之丞の涼しい眼に見透されはしないかと怖ろしい気にも襲われる。
お綱が話を途切らすと、弦之丞もまたいつまでも、取りつきにくく無口でいた。
ザブン、ザブン……と、打出ヶ浜に寄せ返す波も、冴え過ぎて冬に似る月の寒さも、恋に意気地のないお綱の心を縮ませるばかりである。
虫の知らせか、弦之丞は、その時なんとなく、早く時雨堂へ帰らなければ、銀五郎や多市が、さだめし案じているだろうと思いだされてきた。
いつまでたっても、二人の仲に、何も結びつけられてこないので、ともすると相手がそこを立ち去りげに見える。