후리가나로 읽는 일본 고전
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“のうひつジム”
“能筆ジム”
坂口 安吾의 “能筆ジム”(“のうひつジム”)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 4,488자 · 9화면
どの位無駄を出したかは分らないが、恐らくわずかに違ない。彼のような細心なエキスパートになると、そう無茶苦茶に失敗を出すことはないものだ。彼は特にそのニセ札の肖像にいたっては、すばらしいものであった。また彼は、大蔵省印を描くについては細心の注意を払った。これがまずく描かれるとニセ札は直ぐ見破られるものだからである。拡大鏡で見れば直ぐ分るのだ。
ところで、彼の芸術家としての才能の生かされているのは、旋盤細工になっている札の裏面の場合である。機械仕掛の腐蝕製版のトレースを再生するかわり、彼は札の裏にブラッシュでそれを描き出したのである。一眼では勿論、注意して見てもそれが腐蝕製版でないことが分らないほど見事にやってのけたのである。
さて、これでニセ札は出来上った。いよいよこのニセ札を使って、本物の紙幣、貨幣を手に入れなければならない。そこで彼は月々一回ニュー・ヨークへ商用と称して出掛けるたびに、自信満々のニセ札を、その滞在の二三日間に、本物の札や銀貨とすりかえて帰るというコースをくり返すのだ。そうして、このコースが、十七年間(一八七九―一八九六年)細心と冷静のうちに続けられたのだから、驚く外はない。