일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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うすゆきしょう

うすゆき抄

久生 十蘭

久生 十蘭의 うすゆき抄(うすゆきしょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 30,454자 · 59화면

아오조라 문고

この上には猪のいる山隈があるばかり。せっかくこの道を来られたには、屋形に御用の方とぞんずるが、お名を仰せあればお取次ぎいたす、などと弁口めかした詮議だてをしている。その人は意外な咎めを受けるものかなといった面持で、黙然と道なかに立ちつくしていたが、やがて慇懃に膝へ手をおろして、

「私はこの上の猪の出る山隈に、ささやかな領地を持っている青山大炊介という郷士ですが、四、五年、下野の足利に居り、この谷津にかような邸第の出来たことも、今日はじめて知った次第。隣保の仁義にも及ばなかったが、以後、よろしくお見知りおきねがいたい」

軽やかに受流して、悠然と上のほうへあがって行ってしまった。

あとを慕ってくると思っていたが、それは見当ちがいで、上の谷戸へ帰るひとだった。行子はむやみに興奮していたので、当外れの失望から神経の発作をおこし、三層閣の部屋へ入るなりひどい熱をだしてしまった。

熱といってもいろいろだが、それは摩擦抵抗から生じる熱作用、といったたぐいのものだったのだろう。その夜、行子は頭の下でたえず熱い枕を廻しながら、朝までまんじりともしないという辛い夜を、生れてはじめて経験した。