후리가나로 읽는 일본 고전
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かやのおいたち
かやの生立
岡本 かの子
岡本 かの子의 かやの生立(かやのおいたち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 12,632자 · 25화면
渡る頃であっても、かすか乍らも澄み透って一縷の哀調を運ぶ横笛の音なのであった。どうかして、それが絶える夜でもある時は、かやは、婆やに尋ねたり、枕の上に小さな耳をそばだててしきりに待ったりするのであった。
「甚三がよく吹くな」
と婆やもじっと聞き入って居る時も度々あった。甚三とは、横笛を吹く南の村落の若者の名であるのだそうであった。その時はまだかやは、甚三という若者の容貌など一向に想像したこともなかった。ただじんざという呼名の響が、かやの耳に通って来る、横笛の音に、何とはなしのなつかしさを添える様になった。
冬も一月末の極寒の頃であった。四五日続いた曇天に、茅で葺かれた収穫蔵の屋根も、その前面から広くとって、ずっと奥庭との境の垣根まで続いて春や秋、の頃の収穫物を干し乾かす場所に宛ててある外庭の土も、皆一様に灰色に、いじけて下駄の歯で荒らされた地面の上などは、こぶこぶのまま、凍り固まって居るのであった。下男の吉蔵は、まだ夜明け前の広い台所の真中へ三四枚の藁筵をひいて、近所の四五人の倔強の若者等と大釜の湯を取り分けてた真赤な番茶を、前の夜から焚いて用意して置いた麦飯を、大きな茶碗に山盛りにした上からかけては、黄色な沢庵などを忙しく箸で挟み乍ら、何杯も何杯も代えるのであった。