후리가나로 읽는 일본 고전
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このなつ
この夏
宮本 百合子
宮本 百合子의 この夏(このなつ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 6,213자 · 13화면
借りた茅屋根の小家は、明月谷にある。明月谷という名は、陳腐なようで、自然の感じを思いのほか含んでいる。家の縁側に立って南を見ると、正面に明月山、左につづく山々、右手には美しい篁の見えるどこかで円覚寺の領内になっていそうな山々、家のすぐ裏には、極く鎌倉的な岩山へ掘り抜いた「やぐら」が二つある。「やぐら」の入口の上に、今葛の葉が一房垂れている。野生のなでしこ、山百合が咲いている。フダーヤはその岩屋に入って、凄く響く声の反響をききながら、
「大塔宮が殺される時の声もこんなに響いたんだろうな」
といった。隅に、巨大な蜘蛛が巣をかけていた。その下の岩の裂けめから水が湧き出し、少したまっている面が薄暗い中で鈍く光った。――
大船へ二十何町かあると同じくらい海岸からも引込んでいるから、私どもの生活は、八月の海辺風物――碧い海、やける砂、その上に拡げられた大きな縞帆のような日除け傘、濃い影を落して群れる派手なベイジング・スウトの人々などという色彩の濃い雰囲気からは全く遠い。それどころか、明月谷の住人は、或る点現代というものからさえ幾分――丁度二十何町ばかりも引込んでいるようでさえある。