일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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たずねびと

たずねびと

太宰 治

太宰 治의 たずねびと을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 7,132자 · 14화면

아오조라 문고

小牛田までは、まだ四時間以上もあるでしょう。また、小牛田に着いても、それは夜の十時ちかくの筈ですから、ミルクを作ったり、おかゆを煮てもらったりする便宜が得られないに違いない。

仙台が焼けてさえいなかったら、仙台には二、三の知人もいるし、途中下車して、何とか頼んで見る事も出来るでしょうが、ご存じの如く、仙台市は既に大半焼けてしまっているようでしたから、それもかなわず、ええ、もう、この下の子は、餓死にきまった。自分も三十七まで生きて来たばかりに、いろいろの苦労をなめるわい、思えば、つまらねえ三十七年間であった、などとそれこそ思いが愚かしく千々に乱れ、上の女の子に桃の皮をむいてやったりしているうちに、そろそろ下の男の子が眼をさまし、むずかり出しました。

「何も、もう無いんだろう。」

「ええ。」

「蒸しパンでもあるといいんだがなあ。」

その私の絶望の声に応ずるが如く、

「蒸しパンなら、あの、わたくし、……」

という不思議な囁きが天から聞えました。

誇張ではありません。たしかに、私の頭の上から聞えたのです。ふり仰ぐと、それまで私のうしろに立っていたらしい若い女のひとが、いましも腕を伸ばして網棚の上の白いズックの鞄をおろそうとしているところでした。