후리가나로 읽는 일본 고전
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たちあなひめ
たちあな姫
菊池 寛
菊池 寛의 たちあな姫(たちあなひめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,540자 · 21화면
十一月の終か、十二月の初頃でした。私は、その日珍しく社から早く帰って来ました。退社の時刻は、大抵六時――どんなに早くっても五時だったのですが、其日にかぎって、四時頃に社を出たように思います。
その頃は、江戸川縁の西江戸川町に住んで居ました。琴の師匠の家の部屋を借りて、妻と一緒に暮して居たのです。その日、私は社から帰って来ますと、久し振りで銭湯へ行きました。そして、ゆったりとした気持になりました。夕飯を喰べてしまったのが、七時頃でしたろうか。私は妻を連れて神楽坂へでも、散歩に行こうかと思いました。が、久し振りで湯に入った故か、何となく眠気がさして、此儘床に入って、肩の凝らない雑誌でも、読もうかと云う気にもなりました。丁度その時でした。自転車が、表で止まったかと思いますと「木村さん―電報!」と云う声を、聴きました。
『電報!』と云う声を聴く度に、私はいつも国に居る年の寄った両親の事が、電のように、頭の中に閃くのです。そして『父キトク』だとか『母キトク』などと云う文句が、ハッと胸を衝くのでした。だから、私は電報と云う声を聞いてから、それを受取る迄の短くはあるが、然し不快な焦躁の四五秒が可なり嫌でした。