후리가나로 읽는 일본 고전
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たちあなひめ
たちあな姫
菊池 寛
菊池 寛의 たちあな姫(たちあなひめ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,540자 · 21화면
東京駅前で、電車を降りると、あの広い駅前の空地は、寒い風に吹き払われたように、人一人通って居りませんでした。私は、外套の襟を立てながら急ぎ足で、駅内にはいると、入場券を買ってプラットフォームへ急ぎました。まだ汽車の着く迄には、十分位間がありました。
プラットフォームにも、人影は極く稀でした。出迎えと思われる男女が五六人、プラットフォームの中央の、待合室内に寒むそうに腰かけて居ました。私は、タチアナ姫が来る以上、各新聞社の記者や写真部の連中の顔も、見えるだろうと予期して居ましたが、まだ一人もそれらしい者は来て居ませんでした。その裡に、八時三十分が近づくと、写真班の連中が、一人集り二人集り何時の間にか、六七人にもなって居ました。顔こそ見知らないが、自分と同業の人らしい風采の男が、五六人プラットフォームを彼方此方と歩いて居るのが、目に付きました。各社で警戒して居る以上、ヒョッとするとタチアナ姫は来るのかも知れないと思いました。そう思うと、大帝国の皇帝の内親王と仰がれた人が幽閉の地から身を以て逃れ、寂しい薄倖な亡命の旅に上って、異国の停車場の初冬の夜に、悄然として下車すると云う悲劇的な、然しロマンチックな情景が、二三分の中に起るのかと思うと、私は自分の胸があるセンチメンタルな興奮に閉ざされるのを感じました。