후리가나로 읽는 일본 고전
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あわもりものがたり
『たぬき汁』以後
佐藤 垢石
佐藤 垢石의 『たぬき汁』以後(あわもりものがたり)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 118,470자 · 244화면
ただ在るものは虚偽と虚栄と、冷たい空気ばかりである。来る日も、来る月も、来る年も、空閨の連続である。それでも、婦道を守り姑に仕えて、五、六年は過ぎた。
だが、本人は深く考えた。こうして、自分だけ人間の道を護っても、相手に反応がなければそれは無意味である。なおかつ、良人の家にあるとすれば、五十年、六十年の後には、枯木の倒れるように、空しく骸となって失せねばならぬと思う。
ある夜、思い切って熊本の千万長者の家を去った。そして、東京の兄の家へは立ち寄らず、直接猿ヶ京の母の膝下へ帰った。兄は、この結婚は失敗であったということを深く理解していた。妹が婚家を去ったという報せをきいて、猿ヶ京へ飛び帰り、厚く妹を慰めそして謝した。
母は、一言もいわなかった。ただ哀れなわが娘を抱きしめ、潜然と涙の皺の頬に、流し伝えるばかりであった。
そのころ、この名門へ出入りする炭焼男があった。名門では日ごろ、この男に薪をきらせ、炭を焼かせて、一年の料としたのである。猿ヶ京の村から眺むれば、南は利根郡と吾妻郡の境をなす子持や小蜀子の連山に続いて、三国峠の山裾が伸びた重畳たる岳と谷、北六の背となるところは、初根郡と越後国南魚沼郡の国境をなす茂倉、谷川、万太郎、三国山など八千尺級の雪の峻嶺が奥へ奥へを続いている。