일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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つゆのあとさき

つゆのあとさき

永井 荷風

永井 荷風의 つゆのあとさき을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 74,725자 · 148화면

아오조라 문고

九

九

市ヶ谷合羽阪を上った薬王寺前町の通に開業している医者が、応急の手当をしてくれた上に、自動車まで頼んでくれたので、君江は雨の夜もいつか明くなりかけた頃、本村町の貸間へ帰って来た。顔と手足との疵はさほどの事もなかったが、長い間着のみ着のままぐっすり雨に濡れていたので、夜明から体温は次第に昇って摂氏四十度を越え、夕方になっても一向下りそうもない容態に、医者は窒扶斯か、肺炎でも起さなければよいがと、貸間の老婆にも注意して行ったが、幸にしてそれほどの事もなく、三日目には入院の沙汰も止み、一週間目には布団の上に起き直ってもいいようになった。

君江は事実を知らせると、大勢見舞いに来るのが煩さいのみならず、強姦の噂が立たないとも限らないと思って、カッフェーへは唯風邪をひいたことにして置いたのである。八日目の午後になって、春代が初めて見舞に来たが、その時には額の繃帯は既に除かれていたので、疵の痕はその晩路地で転んだことにいいまぎらしてしまった。次の日には瑠璃子が来たが、これも風邪の重いのに罹ったのだとばかり思い込んで帰った。体温は既に平生に復し食慾もついて来たが、腰や手足の打身はまだ直らず、梯子段の上り下りにもどうかすると痛みを覚えるくらいである。