후리가나로 읽는 일본 고전
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
永井 荷風의 つゆのあとさき을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 74,725자 · 148화면
いつもその辺の夜学校から出て来て通り過る女にからかう学生もいないのは、大方日曜日か何かの故であろう。金網の垣を張った土手の真下と、水を隔てた堀端の道とには電車が絶えず往復しているが、その響の途絶える折々、暗い水面から貸ボートの静な櫂の音に雑って若い女の声が聞える。君江は毎年夏になって、貸ボートが夜ごとに賑かになるのを見ると、いつもきまって、京子の囲われていた小石川の家へ同居した当時の事を憶い出す。京子と二人で、岸の灯のとどかない水の真中までボートを漕ぎ出し、男ばかり乗っているボートにわざと突当って、それを手がかりに誘惑して見た事も幾度だか知れなかった。それから今日まで三、四年の間、誰にも語ることのできない淫恣な生涯の種々様々なる活劇は、丁度現在目の前に横っている飯田橋から市ヶ谷見附に至る堀端一帯の眺望をいつもその背景にして進展していた。と思うと、何というわけもなくこの芝居の序幕も、どうやら自然と終りに近づいて来たような気がして来る……。
火取虫が礫のように顔を掠めて飛去ったのに驚かされて、空想から覚めると、君江は牛込から小石川へかけて眼前に見渡す眺望が急に何というわけもなく懐しくなった。