후리가나로 읽는 일본 고전
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
永井 荷風의 つゆのあとさき을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 74,725자 · 148화면
何なら少しお休みなさい。」
「いいえ。別に。」と言いはしたものの、鶴子は身体の置場にこまって板の間にべったり坐った。
「顔色がよくない。」と老人は既に様子を察したものらしく、「わしは人から聞いたはなしは何事によらず他言はしない。むかし細井平洲という先生は人の手紙を見るとその場で焼いてしまったという事だ。心配せん方がよい。」
鶴子はこの時胸にある事は何も彼もこの老人だけには打明けてしまいたい気になって、縋るようにその足下に摺寄り、「お話したい事が御在ますの。わたくし、お父さまより外には、お話したいと思いましても、誰もお話する方が御在ませんから。」
「うむ。聞きます。先刻からどうも様子が変だと思っていた。」と老人は酒屋の男が明放しにして行った勝手口の硝子戸に心づき、手を伸してそれを閉めた。
「お父さま。あのおはなし。あれはもう、折角の思召しで御在ますけれど、実はもう、なんにもならない事だと存じますから。」と涙を啜った。
「そうか。家がうまく行っておらんのか。困ったものだ。お前の考はどうだ。この末望みがないのか。」
「今のところ、別にどうという事も御在ませんけれど、籍を入れましても、ほんの名義だけの事で、いつどういう事になるか分りませんから、かえってこのままの方がよくはないか知らと、そういうような心持もいたします。