후리가나로 읽는 일본 고전
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
永井 荷風의 つゆのあとさき을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 74,725자 · 148화면
松崎はもう半時間ばかりたてば戸をしめる時間になるので、その間に君江のお客はどんな人か。また君江が果してどういう行動を取るかをも見究めたいような心持もしたが、それまで自分がここに居坐っていてはやりにくかろうと察して、ほどなく勘定を払って外へ出た。両側の商店は既に灯を消し戸を鎖している。夜肆も宵の中雨が降っていたのと、もう時間がおそいのとで、飲みくいする屋台店が残っているばかり。銀座の大通りは左右のひろい横町もともども見渡すかぎりひっそりしていて、雨気を含んだ闇の空と、湿った路の面に反映するカッフェーや酒場の色電燈が目につくばかりである。劇場や興行物は既に一時間ほど前には閉場しているので、今頃ぶらぶら歩いている男女は悉くカッフェーへ出入するものとしか思われない。通り過る電車は割合にすいていて、辻自動車ばかりが行先の見えぬほど街の角々に徘徊している。
松崎は今ではたまにしか銀座へ来る用事がないので、何という事もなく物珍しい心持がして、立止るともなく尾張町の四辻に佇立んだ。そしてあたりの光景を観望すると、いつもながら今更のようにこの街の変革と時勢の推移とに引きつづいてその身の過去半生の事が思返されるのである。