후리가나로 읽는 일본 고전
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ひとりすもう
ひとりすまう
織田 作之助
織田 作之助의 ひとりすまう(ひとりすもう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 20,706자 · 40화면
その時、ふと言葉をかけないのは失礼だ、何故なら自分はあの晩の彼女の親切に礼を言わなければならない筈だ、という考えが頭に浮んだ。この考えがぼくに勇気を与えた。ぼくは振りかえった。と、彼女はもうぼくの直ぐ眼の前まで来ていて、ぼくが頭を下げると、彼女の方から、
「もうお身体は大丈夫ですか」と声をかけた。
「ええ、この間はどうも有難うございました」とぼくはほっとして言った。
ぼくらは暫く物も言わず向きあったまま突っ立っていたが、やがて滑稽なことだが、どちらからともなく坂を下り始めた。登らずに引きかえして下り出したということが何か可笑しくて、微笑すると、彼女もクスッと声を立てた。
坂を降りると、ぼくらは白浜の方へとゆっくり歩いて行った、彼女は、何か寂しい翳があるというよりも寧ろ冷い感じのする容貌をもっていた。鋭角的な輪廓、よく通った鼻筋、広い額、が、その冷たさに触れてかえって心が温まると思われる様な感じを起させるのだったが、唯一つ、少し上にむくれている上唇が、可憐に見えた。彼女は時々眉の付根を引き寄せる癖があるので、ぼくはそれを「眉をひそめる」という意味にとり、気になったが、それは彼女が近視であるためだった。