후리가나로 읽는 일본 고전
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ゆずゆ
ゆず湯
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 ゆず湯(ゆずゆ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,255자 · 27화면
徳さんが唄うことは私も子供のときから知っていたが、こんなに好い喉をもっていようとは今まで思いも付かなかった。琵琶歌や浪花節が無遠慮に方々の湯屋を掻きまわしている世のなかに、清元の神田祭――しかもそれを偏人のように思っていた徳さんの喉から聞こうとは、まったく思いがけないことであった。
私のほかには商家の小僧らしいのが二人はいっているきりであった。徳さんは好い心持そうに続けて唄っていた。しみじみと聴いているうちに、私はなんだか寂しいような暗い気分になって来た。お玉さんの兄妹が今の元園町に孤立しているのも、無理がないようにも思われて来た。
「どうもおやかましゅうございました。」
徳さんは好い加減に唄ってしまうと、誰にいうともなしに挨拶して、流し場の方へすたすた出て行ってしまった。そうして、手早くからだを拭いて揚がって行った。私もやがてあとから出た。露地へさしかかった時には、徳さんの家はもう雨戸を閉めて燈火のかげも洩れていなかった。霜ぐもりともいいそうな夜の空で、弱々しい薄月のひかりが庭の八つ手の葉を寒そうに照らしていた。
わたしは毎日大抵明かるいうちに湯にゆくので、その柚湯の晩ぎりで再び徳さんの唄を聴く機会がなかった。