후리가나로 읽는 일본 고전
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わがまち
わが町
織田 作之助
織田 作之助의 わが町(わがまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 93,840자 · 186화면
次郎は剃刀屋の細長い店の奥を覗いてみたが、十年前にそこにいた柳吉の姿はもうそこに見受けられなかった。
が、剃刀屋の向いには、相変らず鉄冷鉱泉(むねすかし)屋があった。
剃刀屋の隣りに写真屋があった。
写真屋の隣りに牛肉店があった。
名も昔通りのいろは牛肉店で、次郎は千日前はすこしも変らぬなと思いながら通り過ぎようとすると、君枝はなに思ったのか、
「ちょっと……」
と、言って立ち停り、そして、いろはの横町へはいって行った。
そこは変にうらぶれた薄汚ないごたごたした横町で、左手のマッサージと看板の掛った家の二階では、五六人の按摩がお互い揉み合いしていた。その小屋根には朝顔の植木鉢がちょぼんと置かれていて、屋根続きに歯科医院のみすぼらしい看板があった。看板が掛っていなければ、誰もそこを歯医者とは思えぬような、古びたちっぽけなしもたや風の家で、頭のつかえるような天井の低い二階に治療機械が窮屈にかすんで置かれてあった。
右手は薄汚れた赤煉瓦の壁で、門をくぐると、まるで地がずり落ちたような白昼の暗さの中に、大提燈の燈や、蝋燭の火が揺れて、線香がけむり、自安寺であった。