후리가나로 읽는 일본 고전
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わがまち
わが町
織田 作之助
織田 作之助의 わが町(わがまち)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 93,840자 · 186화면
君枝と他吉はそれを見送り、簡単に見合いが終った。
「そんならそれと、はじめから言うて呉れたら良えのに……」
何も一杯くわさずともと、君枝は階段に登りながらちょっとふくれて、
「――こんな汚い顔して、鶴富組の御主人かて笑たはるこっちゃろ」
本当は次郎が笑っているだろうという気持を含めて、そう言ったが、しかしあとで大笑いの酒という茶番めいたものもなく、若い次郎はともかく、他吉も鶴富組の主人も存外律儀者めいた渋い表情であった。
とりわけ、他吉は精一杯にふるまい、もし君枝が鶴富組の主人に気に入らねばどうしようという心配も、はらはら顔に出ていた。
君枝の器量は他吉の眼からも、人並みすぐれて見えたが、そんなことは次郎はともかく鶴富組の主人にはどうでも良い筈だ。
だから、他吉にしてみれば、君枝を何ひとつ難のない娘に育てたという気持は、ひょっとすれば大それた己惚れであるかも知れず、それに比べて、次郎は三日前鶴富組の主人が他吉に語ったところによると、人間はまず年相応に出来ているし、潜りの腕もちょっと真似手がなく、おまけに眼もおそろしく利いて、次郎が潜ってこれならばと眼をつけた引揚げ事業で、これまで失敗したことがないということだ。