후리가나로 읽는 일본 고전
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わがちをおうひとびと
わが血を追ふ人々
坂口 安吾의 わが血を追ふ人々(わがちをおうひとびと)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,546자 · 21화면
そして、四郎の顔がサンタ・マリヤに似てゐると気付いたときには、四郎の通る道ばたに土下座して拝むことを誇りとする女達まで現れてゐた。
サンタ・マリヤ。それは日本の切支丹のふるさとであつた。切支丹の荒武者達は胸にマリヤの絵姿を秘めて戦場を走つてゐたし、ミサの讃美歌に恍惚と泣く大衆達はマリヤの顔に更に愁ひを清めるのだ。それは永遠のあこがれであつた。維新の折、キリスト教が復活して長崎の大浦に天主堂が許されたとき、三百年の潜伏信仰をつゞけてきた浦上の信徒達がひそかに教会を訪れて、プチジャン神父に最初に尋ねた言葉は「サンタ・マリヤ様はどこ?」といふ問ひであつたと記録せられてゐる。神父が彼等をマリヤの像の前へ案内すると、さう、ほんとうにサンタ・マリヤ様、御腕にゼスス様を抱いてゐらつしやる、と叫んで跪いてしまつたといふ。彼らの祈りの対象はマリヤ観音であり、それが切支丹大衆の心の在りかであつたのだ。サンタ・マリヤの顔は東洋的な哀愁を宿し、日本のどこかにいつかしら見かけた思ひが誰しもの心に必ず起る顔であつたし、伏し目の忍従と清浄は日本婦道の神秘自体にも外ならない。四郎の顔はサンタ・マリヤに似てゐた。