후리가나로 읽는 일본 고전
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わがちをおうひとびと
わが血を追ふ人々
坂口 安吾의 わが血を追ふ人々(わがちをおうひとびと)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,546자 · 21화면
こゝならば村の者には見つからない。あいにく小左衛門はたつた一人裏庭へでゝ神火を見てゐた。海から上つてくる男に向つて誰かと叫ぶと、あゝ、あんたか、と、男はすり切れたやうな声で答へたゞけだつた。さすがにこの男も冬の荒れ海の水練に疲労困憊してゐたのである。男は暫く汀にうづくまつてゐたが、やがて起き上つて腰に巻きつけてゐたヂシビリナ(鞭)をほどくと、力一ぱい自分の身体を殴りはじめた。散々に殴り、血にまみれ、喘ぎながら小左衛門の牛小屋に辿りつくと、へたばるやうにもぐりこんで藁をかぶつて寝てしまつた。
この男が何のためにこの島へきて小左衛門の地所を借りたか、だんだん意味が分つてきた。この男は、先づ一冊の本をたづさへてきたのである。この本は二十五年前上津浦に布教してゐたマヽコスといふ外人神父の書き残した予言書で、マヽコスは之を残して追放されたと言ふのであるが、五々の年、日域に善童が現れるであらう、善童は習はざる諸道に通達してゐる、東西の空が焼け、枯木に花が咲き、天地震動し、そのとき人々がクルス(十字架)をかゞげて野山をはせめぐり切支丹の世となるであらう、といふ意味のことが書いてある。