후리가나로 읽는 일본 고전
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わがちをおうひとびと
わが血を追ふ人々
坂口 安吾의 わが血を追ふ人々(わがちをおうひとびと)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,546자 · 21화면
レシイナは彼の妻でありヒエロニモ四郎の姉であつた。
その瞬時の眼は最も陰惨な心の窓だ。尊貴なる福音の使者たる人にこのやうな眼が有りうるものかと小左衛門は我目を疑る始末であつたが、思へば男の魂は二元で、この陰惨な眼が彼の偽らぬ本性である。この男は悪魔なのだ。彼は神の福音を説いてゐる。けれども、彼の魂は人間の沈み得るどん底に落ち、石よりも重く沈黙し、あらゆる物の破壊を待つてゐるだけだ。レシイナを見たこの男の眼は、幸福又は平和に対する敵意であつた。野卑や好色の翳がないのは、その魂が破壊といふ最後の崖しか見つめることがなくなつてゐる証拠であつた。
男の名は金鍔次兵衛の通り名で日本全土に知られてゐたが、その本名は誰も知らない。大村の生れで、父はレオ落合小左衛門、母はクラヽ、貧乏な武士で、両親共に殉教者であつたといふが、彼は少年時代から有馬の神学校で育ち、欧羅巴人と同じぐらゐラテン語を達者に話した。一六二二年、宗教的地位を得るためにマニラに渡り、二三年十一月二十六日管区長フライ・アロンゾ・メンチエダ神父によつて修道服を受け、ドン・フライ・ペトロ・デ・アルセによつて司祭に補せられた。