후리가나로 읽는 일본 고전
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わがちをおうひとびと
わが血を追ふ人々
坂口 安吾의 わが血を追ふ人々(わがちをおうひとびと)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,546자 · 21화면
彼は危急の迫るたびに刀の鍔に手を当てゝ祈念するので、刀の鍔に切支丹妖術の鍵が秘められてゐるのだらうと取沙汰せられて、金鍔次兵衛(又は次太夫)の渾名となつたが、多分彼の刀の鍔に十字架がはめこまれてゐたのであらうと今日想像せられてゐる。刀の鍔に十字架を用ひた例は切支丹遺物の中にも現存してゐる。カトリック教徒が胸に切る十字は、あれが多分後世忍術使ひの真言九字の原形であつたに相違ない。切支丹と言へばバテレンの妖術使ひと一口に言ふが、真に妖術使ひの足跡を正史にとゞめてゐる者は金鍔次兵衛の外にはない。
ポルトガルの商船はまた長崎に入港したが、乗員達はもはや上陸を許されず、早晩貿易禁止は必然で、日本潜入の神父も後を絶たうとし、信徒と教団の連絡は絶望的になつてゐた。潜入の神父はあらかた刑死し、フェレイラは棄教、残存するのは金鍔次兵衛ぐらゐのもので、あとは消息も分らない。
その年の長崎及びその近郊に行はれた降誕祭のミサは無茶苦茶だつた。信徒達は殺気立ち、捕吏が来たら捕へて殺してしまふ覚悟で、各々の秘密集会所で祈り泣き歌ひ、牛小屋を清めて水をはり、彼らはもう死の狂躁と遊んでゐた。