후리가나로 읽는 일본 고전
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,277자 · 21화면
鞍下のあたりがとつぜんにどっかりと落ちこんでいるので、首とお尻がむやみに飛びあがり、横から見ると、胴の長いスペイン犬そのままだった。いつも目脂をいっぱい溜め、赤く爛れた眼からたえず涙をながしている。
おまけに、その馬は跛だった。
むかし、ひどい怪我をしたのらしく、右の後脚がうんと外方へねじれてしまい、ほかの三本の肢より二寸ばかりみじかい。肢をピョンといちど外へ蹴だしてから、探るような恰好で蹄を地面におろす。そのたびに、身体が大時化に遭った船のようにガクン、ガクンと左右に揺れる。後ろから眺めると、ちょうどポルカでも踊っているように見えるのである。
屠殺場へゆくほか、この世で役に立てようもないようなひどいぼろ馬だったが、手入れだけは、おどろくほどよくゆきとどいている。ちびた鬣は丁寧に梳かれ、身体はさっぱりと爬かれて、垢ひとつついていなかった。
老人は、いつも古手拭いの頬冠りなのに、馬は、耳のところに二つ穴をあけた黒いソフトをかぶっている。雨の日は、老人のほうは、南京米の袋を肩に掛けているだけだが、馬のほうは、古いながら護謨引きのピカピカ光る雨外套を着ている。