일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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チャンス

チャンス

太宰 治

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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 8,361자 · 17화면

아오조라 문고

「きれいなお月さまだわねえ。」なんて言って手を握り合い、夜の公園などを散歩している若い男女は、何もあれは「愛し」合っているのではない。胸中にあるものは、ただ「一体になろうとする特殊な性的煩悶」だけである。

それで、私がもし辞苑の編纂者だったならば、次のように定義するであろう。

「恋愛。好色の念を文化的に新しく言いつくろいしもの。すなわち、性慾衝動に基づく男女間の激情。具体的には、一個または数個の異性と一体になろうとあがく特殊なる性的煩悶。色慾の Warming-up とでも称すべきか。」

ここに一個または数個と記したのは、同時に二人あるいは三人の異性を恋い慕い得るという剛の者の存在をも私は聞き及んでいるからである。俗に、三角だの四角だのいう馬鹿らしい形容の恋の状態をも考慮にいれて、そのように記したのである。江戸の小咄にある、あの、「誰でもよい」と乳母に打ち明ける恋いわずらいの令嬢も、この数個のほうの部類にいれて差し支えなかろう。

太宰もイヤにげびて来たな、と高尚な読者は怒ったかも知れないが、私だってこんな事を平気で書いているのではない。甚だ不愉快な気持で、それでも我慢してこうして書いているのである。