후리가나로 읽는 일본 고전
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
久生 十蘭의 ノンシャラン道中記(ノンシャランどうちゅうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,137자 · 26화면
とコン吉がいうと、タヌも朦朧たる声で「ではね、そこへ(臨時休業)の札を出しておいてちょうだい、よく窓掛けを閉めてね」とぐるりと向うへ寝返りを打ったと思うと、はやすやすやと寝入ってしまった。
「社交なんぞ鱶にでも喰われろ、公爵は腹がへったら、一人で陸まで泳いで行くであろ。こっちはここで睡るばかり」四辺関わぬ大欠伸をしてから、筏の上に長くなって、鼾をかき始めた。並々ならぬ筏の動揺と、ぞっとするほど冷たい波の潮沫で驚いて眼を覚ましたコン吉がキョロキョロと、四辺を眺めるところ、どうやら海上の風景が平素に比べてなんとなく単調な趣を呈しているというのは、筏は、陸からそれをつないでおく太いロップを断ち切って泳ぎ出しいまやアンチーブの岬のはるか沖合を漂々閑々と漂っている様子。
あっと仰天したコン吉は、たちまち思慮分別を失い、
「やあ! 難船だ、漂流だ!」と時化にあった臘虎船の船長のように、筏の上、地駄婆駄とうろたえ廻ったが、いかにせん、筏はキャンヌの岸を離れることすでに四粁余り、叫ぼうにも陸に声の届こうはずはなし、元来この筏なるものは、陸真近につないで紳士淑女の飛び込みならびに休憩の用に供するために造られたものゆえ、櫓櫂も帆もあろうはずはない、コン吉の狼狽には頓着なく筏は己が好むにまかせてなおも自在に漂ってゆく。