후리가나로 읽는 일본 고전
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
久生 十蘭의 ノンシャラン道中記(ノンシャランどうちゅうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,137자 · 26화면
いきなりむずとばかりに、窓ぎわの座席に坐ったと思うと、ポケットから「ラ・トリブーナ」という伊太利語の新聞を取り出し、顔の前にさかさに拡げて読み出したが、やがて「くだらん!」と叫んで新聞をもみくちゃにし、その玉を忌々しそうに足で蹴っ飛ばした。
大きな眼鏡からはみ出した顔の部分は、雨あがりのセエヌ河の水のようなやや黄濁した色をし、削瘠した顎の先には、よく刈り込んだアルフォンス十三世式の白い三角髯がくっついていた。
コン吉とタヌがあっけにとられて眺めているうちに、やや遠くで錚々と鳴る発車の電鈴、車掌の呼び子、機関車がどしんと重く客車の緩衝機に突きあたったかと思うと、列車は滑かに昇降場をすべり出し、貨物倉庫や車輛のそばをすり抜け、分岐線をがたがたと飛び越えてから、汽笛一声、マルセーユの市街の胴なかに明けられた長い隧道のなかへ走り込んだ。
アルフォンス十三世は、蒼白い長い指で顎を押えながら、眼鏡の奥からじろじろ二人の様子を見ていたがややしばらくののち、気息で曇った汽車の窓ガラスへ、指で次のような、象形文字を丹念に書きつけた。
弁髪の男の絵
鹿皮の爪磨きで爪を磨きながら、ゆうゆうと十三世の動作を観察していたタヌは、そこで、いきなり立ちあがって窓のそばまでゆき、せっかくの自由画を掌で拭い取ってから、その右上へ、