후리가나로 읽는 일본 고전
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ひとりふたやく
一人二役
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 一人二役(ひとりふたやく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 6,740자 · 14화면
人間、退屈すると、何を始めるか知れたものではないね。
僕の知人にTという男があった。型の如く無職の遊民だ。大して金がある訳ではないが、まず食うには困らない。ピアノと、蓄音器と、ダンスと、芝居と、活動写真と、そして遊里の巷、その辺をグルグル廻って暮している様な男だった。
ところで、不幸なことに、この男、細君があった。そうした種類の人間に、宿の妻という奴は、いや笑いごとじゃない。正に不幸といッつべきだよ。いや、まったく。
別に嫌っていたという程ではないが、といって、無論女房丈けで満足しているTではない。あちらこちら、箸まめにあさり歩く。いうまでもなく、女房は焼くね。それが又、Tには一寸捨て難い、おつな楽みでもあったのだ。一体Tの女房というのが、なかなかどうして、Tなんかに、勿体ない様な美人でね。その女房に満足しない程のTだから、その辺にざらにある売女などに、これはという相手の見つかろう筈もないのだが、そこがそれ、退屈だ。精力の過剰に困っているのでもなければ、恋を求める訳でもない。ただ退屈だ。次々と違った女に接して行けば、そこにいくらか変った味がある。