후리가나로 읽는 일본 고전
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いっぽんのはな
一本の花
宮本 百合子
宮本 百合子의 一本の花(いっぽんのはな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 26,709자 · 55화면
歓びで胸がわくわくする、そんな切なさではなく、真直ぐに立っている朝子を、どこからか重く、暗く、きつく引っ張る、その牽引の苦しさであった。
三時頃、庶務にいる男が、
「――諸戸さん、亀戸ですか」
と入って来た。
「さあ、知らないね」
「白杉さん、今朝お会いになりましたか」
「文部省へ行くとかってお話でしたよ」
「――文部省へ? 何かあるのかしら……」
矢崎が、冷淡なような、根掘り葉掘りのような口調で聞き出した。
「どうしたんだね」
「新聞社から来たんですよ」
「××じゃないのかい?」
団体に出入りする、諸戸の子分のような記者があるのであったが、その男が告げた名はその社ではなかった。
「へえ……」
矢崎は、不精髯の短かく生えた口をとがらせ、考えていたが、
「呼んだのかい」
と云った。
「売り込みさ、――また、ここの資金をこっそり学校の方へ流用している事実があるとか何とか云って来たらしいんだ」
「誰が会ったんだ」
「鈴本さん――そんなこと絶対にないと思うって熱心にやってましたよ」
矢崎は、それぎり黙り込み、仕事をしつづけたが、彼の様子を見ると、朝子は、矢崎がそのことについて全然知らぬではないと感じられた。