후리가나로 읽는 일본 고전
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
久生 十蘭의 久生十蘭短篇選(ぼしぞう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 48,344자 · 96화면
太郎は保護室といっている薄暗い小部屋の板敷に坐って、巣箱の穴のような小さな窓から空を見あげながら、サイパンの最後の日のことを、うつらうつらと思いうかべていた。
薄暗い部屋のようすが、湿気が、小さく切りとられた空の色が、圧しつけられたような静けさが、熱の出そうな身体の疲れが、洞窟にいたときの感じとよく似ている。洞窟の天井に苔の花が咲き、岩肌についた鳥の糞が点々と白くなっていた。洞窟の口は西にむいてあいているので、昼すぎまでじめじめと薄暗く、夕方になると、急に陽がさしこんできて、奥のほうに隠れている男や女の顔を照らしだした。
骨と皮ばかりになった十四、五の娘が、岩の窪みに落ちた米粒を一つ一つひろっては、泥をふいて食べている。そのむこうの気違いのような眼つきをした裸の兵隊は、オオハコベを口いっぱいに頬ばり、唇から青い汁を垂らしながらニチャニチャ噛んでいる……そういう人間のすがたも、間もなくまた薄闇のなかに沈む。そうして日が暮れる。
「そろそろ水汲みに行く時間だ」
太郎は勇みたつ。洞窟に入るようになってから、一日じゅう母のそばにいて、あれこれと奉仕できるのが、うれしくてたまらない。