후리가나로 읽는 일본 고전
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
久生 十蘭의 久生十蘭短篇選(ぼしぞう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 48,344자 · 96화면
こういうのがこのごろの趣味らしいが、それにしてもふしぎなながめだった。
飛瀑障りというのか、池のむこうの筋落ちの小滝を楓の真木が一本斜めに切るように滝壺のほうへ枝をのべている。萩ノ家というだけあって、庭いちめん、汀石の控えにまで萩を植えてある。
すぐ行くといった伊作は十一時すぎになってもやってこない。やすはのんびりと庭をながめてから床のほうへ立って行って、青磁の安香炉を掌に受けて勿体らしくひねくりはじめた。滋子はイライラして、
「どうしたのかしら。ひどく遅いわね。もう二時間になるわ」
腹立ちまぎれにあたりちらすと、やすは、
「どこかへ遊びに行って、こっちのことなんか忘れてしまったんだろう」
こちらへ背を見せたまま気のない調子でいった。
「それにしたって、こんなに待ちこがれているひとがいるのを、知らないわけでもあるまいし」
やすは居なりにこちらへむきかえると、
「あたしはいつも待たされ通しよ。日本で待ち、巴里へ行っちゃ待ち、この二十年、若旦那の帰りばかりを待って暮してきたようなもんだわ。巴里じゃ、窓のそばの天鵞絨椅子に坐って、足音にばかり耳をたてたっけ。でもそれはこっちの我儘なのよ。